学術情報

噛むことに関する学術情報(ヒト試験結果)をご紹介します。

2021年

  • Chewing increases postprandial diet-induced thermogenesis(咀嚼は食後の食事誘発性熱産生を増加させる)

    Y Hamada et al. Scientific Reports. 11: 23714 (2021).

    要約:液体食品の摂取方法(①普通に飲む、②味わって飲む、③咀嚼しながら味わって飲む)違いによる食事誘発性体熱産生を測定した結果、味覚や咀嚼刺激により熱産生の増加を示した。口腔内刺激による熱産生の増加は太り過ぎや肥満の予防に役立つと考えられる。

    https://www.nature.com/articles/s41598-021-03109-x

  • Lower Masticatory Performance Is a Risk for the Development of the Metabolic Syndrome: The Suita Study(咀嚼能力の低下はメタボリックシンドローム発症のリスクとなる:吹田研究).

    S Fushida et al. Front Cardiovasc Med. 8: 752667(2021).

    要約:吹田スタディにおける中高年健康診断受診者 599 名の追跡調査結果から、日本人男性において咀嚼能力が低いことは、メタボリックシンドロームおよびその構成要素である高血圧、高トリグリセリド、空腹時高血糖の発症リスク因子であることが示唆された。

    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34901213/

  • 47都道府県の名産品における咀嚼回数測定.

    松井ら. 薬理と治療. 49: 1775-1780(2021).

    要約:日本の各都道府県の名産品・郷土料理の中で噛む回数の多い食品があることを知って貰い、咀嚼回数への意識向上による食育啓発や、食事の噛み応えや噛む回数が増加する食品活用によるオーラルフレイル予防につながることを期待する。

    http://www.pieronline.jp/content/article/0386-3603/49100/1775

  • Determination of Chewing Count from Video Recordings Using Discrete Wavelet Decomposition and Low Pass Filtration(離散ウェーブレット分解とローパスフィルタを用いた映像記録からの咀嚼回数の決定).

    S Alshboul et al. Sensors (Basel). 21: 6806(2021).

    要約:被験者が食品を摂取している様子を撮影したビデオ記録から咀嚼回数を決定するための手法を設計することを目的とし、解析手法の検討を行った。その結果、本研究での手法は煩雑なハードウェアを用いることなく、自然環境下での咀嚼行動計測を容易にするものであり、スマートデバイスを活用しての研究を促進しうる。

    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34696019/

  • The economic benefits of increased sugar-free chewing gum in China: a budget impact analysis(中国における無糖チューインガムの増加による経済効果:経費インパクト分析).

    S Du et al. BMC Oral Health. 21: 436(2021).

    要約:中国の10代と成人における無糖ガム摂取量と歯科治療費のコスト分析の結果、無糖ガムの摂取増加により、年間21.5~31.5億元(32.5~47.7億ドル)のコストが節約されると推定され、歯科治療費を大幅に削減できることが示唆された。

    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34493249/

  • Reliability of a novel wearable device to measure chewing frequency(新規な咀嚼回数測定用ウェアラブルデバイスの信頼性).

    K Hori et al. Journal of Prosthodontic Research. 65: 340-345 (2021).

    要約:咀嚼行動をモニタリングできる小型の耳掛けウェアラブルデバイスを開発し、この新しいデバイスの信頼性を検証した。デバイスの正確度、精度、再現性を調査した結果、新しい耳掛けウェアラブルデバイスは咀嚼回数を数えるに十分信頼できるものであった。

    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33441503/

  • Effect of hard gummy candy chewing on masticatory function(硬質グミキャンディの咀嚼が咀嚼機能に及ぼす影響).

    S Fujiwara et al. J Oral Rehabil. 48: 909-915(2021).

    要約:成人男女に硬いグミを習慣的(週3回)に3か月間摂取させた結果、咀嚼能力、咬合力、舌圧の向上が認められ、硬いグミキャンディの習慣的な摂取が舌圧を含む咀嚼機能全般を改善するトレーニングとなることがわかった。

    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34028839/

  • Gum chewing while walking increases walking distance and energy expenditure: A randomized, single-blind, controlled, cross-over study(歩行中のガム咀嚼は歩行距離とエネルギー消費量を増加する:無作為化、単盲検、対照、クロスオーバー試験)

    Y Hamada et al. Journal of Exercise Science & Fitness. 19: 189-194 (2021).

    要約:成人男女を対象とした歩行中にガムを噛みながら歩くことで、対照試行と比較して歩行速度やエネルギー消費等が増加することが示された。

    https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1728869X21000162

  • Association of obesity, diabetes, and physical frailty with dental and tongue–lip motor dysfunctions in patients with metabolic disease(メタボリック疾患患者における肥満、糖尿病および身体的虚弱と歯・舌唇の運動機能障害との関連性).

    M Takahara et al. Obesity Research & Clinical Practice. 15: 243-248(2021).

    要約:代謝性疾患患者1,000名を対象とした口腔機能低下に関連する臨床的特徴を検証した結果、肥満、糖尿病、身体的虚弱、高齢は咀嚼(歯)・舌唇運動機能低下の共通の危険因子であることがわかった。

    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33692009/

  • Relationship between chewing features and body mass index in young adolescents(青年期における咀嚼の特徴と肥満度の関係).

    G Idris et al. Pediatr Obes. 16: 12743(2021).

    要約:肥満あるいは健康体重の青少年の咀嚼特徴(夕飯中)を評価した結果、肥満者は健康体重者に比べ、ゆっくりとしたペースで短時間に食事をすることが示唆された。これまでのアンケート調査結果と矛盾するように思われるが、青少年の体重管理介入として食行動を変えることの有効性を検証するさらなる研究のきっかけとなりうる。

    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33079494/

  • ガム咀嚼習慣による毛髪への影響-観察研究-.

    大島ら. 日本抗加齢医学会雑誌. 17: 186-189(2021).

    要約:成人男女を対象に1日のガム咀嚼時間が多い群と少ない群に分け毛髪径を測定した結果、多い群で頭頂部の毛髪径が有意に太く、日常のガム咀嚼頻度の差は頭頂部の毛髪径へ影響を及ぼす可能性が示唆された。

  • Simple oral exercise with chewing gum for improving oral function in older adults(高齢者の口腔機能向上のためのガム咀嚼と簡単な口腔運動)

    H J Kim et al. Aging Clinical and Experimental Research. 33: 1023-1031 (2021).

    要約:高齢者を対象に口腔運動(SOE)、口腔運動+ガム咀嚼(GOE)、無実施のいずれかを8週間実施し、口腔機能への影響を評価。GOE群は咀嚼混合能力が最も増加し、SOE群、GOE群ともに咬合力、唾液分泌、嚥下機能の改善を確認。SOEとGOEはどちらも高齢者の口腔機能を改善する可能性があるが、咀嚼不調のある人にはGOEをお勧めされる。

    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32476089/

  • A lower maximum bite force is a risk factor for developing cardiovascular disease: the Suita study(最大咬合力が低いことは心血管疾患発症の危険因子である:吹田研究).

    S Hashimoto et al. Scientific Reports. 11: 7671(2021).

    要約:吹田スタディの血管疾患の既往歴のない中高年者1547名を対象とし、ベースラインの最大咬合力と追跡調査による血管疾患の発症との関連を調査。最大咬合力と血管疾患の発症には有意な関連が認められ、最大咬合力が低いことは、血管疾患発症の危険因子である可能性がある。

    https://www.nature.com/articles/s41598-021-87252-5

  • Effects of chewing gum for tear production in healthy young subjects(健康な若年被験者におけるガム咀嚼の涙液分泌に対する効果).

    K Asakawa et al. Acta Ophthalmologica. doi:10.1111/aos.14834

    要約:成人男女を対象にガム咀嚼による涙液分泌(シルマーテスト)への影響を評価した結果、無咀嚼と比較し分泌量が高く、ガム咀嚼が副交感神経の作用による涙腺活性化に役立ち、ドライアイを緩和する可能性が示された。

    https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/aos.14834

  • Effects of Chewing Gum Base on Oral Hygiene and Mental Health: A Pilot Study(ガムベース咀嚼が口腔衛生と精神衛生に及ぼす影響:パイロット・スタディ).

    A Takenouchi et al. Bull Tokyo Dent Coll. 62: 7-14(2021).

    要約:学生を対象とした4週間のガム咀嚼(無味ガム)介入により、介入期間後に無刺激唾液流量が増加することが示唆された。精神的健康度には有意な変化は認められなかった。

    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33583877/

  • More Teeth and Posterior Balanced Occlusion Are a Key Determinant for Cognitive Function in the Elderly(高齢者の認知機能には、より多くの歯と後方バランスのとれた咬合が重要な決定因子となる).

    T Park et al. Int J Environ Res Public Health. 18: 1996(2021).

    要約:高齢者563名を対象に客観的測定可能な咀嚼能力と認知機能との関係を調査。重回帰分析の結果、残存歯数、義歯の状態、咬合バランスと認知機能に有意な相関が認められた。本研究の結果、客観的に測定可能な指標は咀嚼能力評価に適しており、認知機能との相関があることが明らかとなった。

    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33669490/

  • Relationship between Chewing Ability and Nutritional Status in Japanese Older Adults: A Cross-Sectional Study(日本人高齢者における咀嚼能力と栄養状態との関係:横断的研究).

    K Motokawa et al. International Journal of Environmental Research and Public Health. 18: 1216(2021).

    要約:高齢者509名を対象に咀嚼能力(咀嚼チェックガム)と体型、栄養摂取量を調査。咀嚼能力低下群では炭水化物を除くすべての栄養素の摂取レベルが低く、咀嚼能力は栄養摂取量や食品群ごとの摂取量、低栄養と密接に関連していると結論づけられた。したがって、包括的な栄養管理を行うためには、栄養士と歯科医師が協力して同じ患者を治療することが必要である。

    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33572969/

  • ガム咀嚼がエネルギー消費に与える影響とその価値―オープンクロスオーバー試験―

    大島ら. 薬理と治療.49: 169-173(2021).

    要約:成人男女を対象にガム、タブレット、立位、歩行試行によるエネルギー消費増加量を評価。ガム試行のエネルギー消費増加は、タブレット試行および立位試行よりも有意に高く、歩行には及ばなかった。

    http://www.pieronline.jp/content/article/0386-3603/49010/169