学術情報

噛むことに関する学術情報(ヒト試験結果)をご紹介します。

2023年

  • Oral frailty indicators to target major adverse health-related outcomes in older age: a systematic review(高齢期における主要な健康有害事象を対象とした口腔虚弱指標:系統的レビュー)

    Vittorio Dibello et al. Geroscience. 45(2): 663-706 (2023).

    要約:高齢期における口腔虚弱が、死亡率、身体虚弱、機能障害、QOL、入院、転倒にどのような影響を与えるか既存の文献によるレビューを行った。口腔の健康状態の悪化(主に歯の本数)、咀嚼・嚥下・だ液障害、口腔運動能力の低下は、これらの健康指標の悪化と関連していることがわかった。今回の知見は、高齢期における健康有害事象の発現に対する口腔問題の寄与を評価するのに役立つ可能性がある。

    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36242694/

  • Masticatory Behavior Change with a Wearable Chewing Counter: A Randomized Controlled Trial(装着型咀嚼カウンターによる咀嚼行動の変化:無作為化比較試験)

    S Hori et al. J Dent Res. 102(1): 21-27 (2023).

    要約:耳に掛ける小型の装着型咀嚼カウンターを使用して4週間の咀嚼介入を行い、介入前後でのおにぎり1個(100g)の咀嚼回数、咀嚼時間を測定した。咀嚼行動変容を促すアルゴリズムを搭載した装着型咀嚼カウンターを用いて、食事における咀嚼回数の目標値と達成度を自己モニタリングすることにより咀嚼回数が増加し、咀嚼行動に効果的な変化が現れることがわかった。

    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36085580/

  • High masticatory ability attenuates psychosocial stress: A cross-sectional study(高い咀嚼能力は心理社会的ストレスを減衰させる:横断的研究)

    Ayako Hashimoto et al. PLoS One. 18(1): e0279891 (2023).

    要約:女子大学生80名を対象として、咀嚼能力低値群と高値群に分け、10分間ストレスを負荷し、客観的及び主観的なストレス指標により比較を行った。その結果、咀嚼能力高値群は、一時的にストレスがかかってもすぐに自律神経バランスが安静状態へ回復し、ストレス耐性があることが明らかとなった。この結果より、咀嚼能力を高めることは、心理社会的ストレスの緩和に寄与する可能性が示唆された。

    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36652405/

  • Assessment of subjective and objective masticatory function among elderly individuals with mild cognitive impairment(軽度認知障害のある高齢者における主観的および客観的咀嚼機能の評価)

    Nan-Ju Lee et al. Aging Clin Exp Res. 35(1): 107-115 (2023).

    要約:高齢者の軽度認知障害 (MCI) に対する咀嚼機能の影響を調べた。歯の数、奥歯の数、咬合力、咀嚼能力指数(MAI)および後方咬合支持状態は、認知機能正常群とMCI群(KMMSE≤23)の間で有意な差を示した。しかし、動的咀嚼能力(MAI)のみが、年齢、性別、取り外し可能な補綴物に関係なく、MCIと有意に関連していた。高齢者の認知障害においては、単純に歯の数を増やすよりも、治療用補綴物を周囲の咀嚼システムと調和させ咀嚼効率を高めることがより重要である。

    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36367631/

  • Factors related to masticatory performance in junior and senior high school students and young adults: A cross-sectional study(中高生および若年成人における咀嚼能力に関連する因子:横断的研究)

    Yohei Hama et al. J Prosthodont Res. 67(3): 424-429 (2023).

    要約:中高生および若年成人(20~40歳)を対象に、性別、年齢、個人の口腔機能と咀嚼能力(咀嚼チェックガム使用)との関係を調査した。咀嚼能力の発達は性別によって異なり、男性は女性よりも高い値を示した。本調査結果から、性別(男性)、最大咬合力、舌圧、機能する歯の数が咀嚼能力と有意に関連していることが明らかとなった。

    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36351617/

  • Association between Masticatory Performance, Nutritional Intake, and Frailty in Japanese Older Adults(日本人高齢者における咀嚼能力、栄養摂取量、虚弱の関連性)

    Mitsuzumi Okada et al. Nutrients. 15(24): 5075 (2023).

    要約:高齢者のエネルギー、タンパク質、ビタミンD摂取量と虚弱および咀嚼能力との関連性を調べた。丈夫なグループは、虚弱なグループに比べて、タンパク質エネルギー比、ビタミンD摂取量、主観的および客観的な咀嚼能力に関して有意に良好な結果を示した。ロジスティック回帰分析により、骨格筋量、タンパク質エネルギー比、客観的咀嚼能力と虚弱との間に有意な相関関係みられた。咀嚼能力は、エネルギー、タンパク質、ビタミンDなどの栄養素の摂取とは無関係に虚弱性と関連していた。

    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38140333/

  • Oral frailty five-item checklist to predict adverse health outcomes in community-dwelling older adults: A Kashiwa cohort study(地域在住高齢者における有害な健康転帰を予測するための口腔虚弱5項目チェックリスト:柏コホート研究)

    Tomoki Tanaka et al. Geriatr Gerontol Int. 23(9): 651-659 (2023).

    要約:オーラルフレイルを簡単に評価するためにオーラルフレイル5項目チェックリスト(OF-5)を開発し、その妥当性について9年の追跡データにより検証した。対象となる2031人の参加者のうち、OF-5ポイントが2点以上の39.3%の人で、身体障害と死亡のリスク増加と有意に関連していた。OF-5は、日本人高齢者の身体的虚弱、身体障害、死亡率に対する強力な予測的妥当性を示した。

    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37661091/

  • The relationships between mastication and cognitive function: A systematic review and meta-analysis(咀嚼と認知機能の関係:系統的レビューとメタ分析)

    Ma Therese Sta Maria et al. Jpn Dent Sci Rev. 59: 375-388 (2023).

    要約:咀嚼機能が高齢者/若年成人の認知機能に影響を与えるかどうか体系的レビューを実施した。検索された 226件の論文のうち、20件が採択された。認知機能検査の得点が低い高齢者では、咀嚼能力が低く、咀嚼困難であり、歯の本数が減少していた。咀嚼機能障害のある高齢者では、認知障害のリスクが増加していた。

    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38022390/

  • Association between oral health and locomotive syndrome: a cross-sectional study in Japanese adults(口腔の健康とロコモティブシンドロームとの関連:日本人成人における横断的研究)

    Mizuki Saito et al. BMC Geriatr. 23(1): 846 (2023).

    要約:成人集団を対象に、ロコモティブシンドローム(LS)と口腔の健康状態(歯の数や咀嚼機能など)との関連を調べた。LSのオッズ比は、歯が28本の参加者よりも歯が0~19本の参加者の方が有意に高く、咀嚼機能が低い参加者の方が良好な参加者よりも有意に高かった。咀嚼機能の維持は、成人期のLSを予防するために重要であると考えられる。

    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38093202/

  • Chewing ability and associated factors in older adults in Germany. Results from GEDA 2019/2020-EHIS(ドイツの高齢者における咀嚼能力と関連因子 GEDA 2019/2020-EHISの結果)

    Laura Krause et al. BMC Oral Health. 23(1): 988 (2023).

    要約:ドイツの高齢者集団の咀嚼能力と関連要素について調査を行った。咀嚼能力が低下した人の割合は20.0%であり、14.5%が軽度の困難を、5.5%が重大な困難を抱えていた。咀嚼能力低下の最も重要な関連因子は、高齢、社会経済的地位の低さ、健康問題による普段の活動の制限、抑うつ症状、日常的な喫煙、歯科受診率の低さ、歯科治療への不満であった。咀嚼能力を維持するためには、高齢者の生活環境と健康管理の状況を総合的に見る必要がある。

    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38071318/

  • Improvements in Maximum Bite Force with Gum-Chewing Training in Older Adults: A Randomized Controlled Trial(高齢者における歯肉咀嚼訓練による最大咬合力の改善:無作為化比較試験)

    Kenta Kashiwazaki et al. J Clin Med. 12(20): 6534 (2023).

    要約:高齢者の口腔機能低下の予防と改善のためガムを噛むトレーニングプログラムを開発し、その効果を介入試験により検証した。211人が試験を完了し、介入群は実験用のガムを毎日噛み、対照群は実験用の顆粒食品を毎日摂取した。2ヵ月後、介入群は対照群よりも最大咬合力が有意に高かったことから、ガムを噛むトレーニングが高齢者の口腔機能低下を改善する可能性が高いことが示唆された。

    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37892673/

  • Relationship between oral frailty and locomotive syndrome in working-age individuals: a cross-sectional survey of workers in Japan(現役世代における口腔虚弱とロコモティブシンドロームの関係:日本の労働者を対象とした横断的調査)

    Rie Nagao-Nishiwaki et al. BMC Oral Health. 23(1): 711 (2023).

    要約:労働年齢人口を対象に、残存歯数、咀嚼能力(咀嚼チェックガム)、オーラルフレイルの兆候とロコモティブシンドローム(LS)の関係を調べた。495人の解析対象者(男性354人、女性141人、年齢中央値43歳)の残存歯数の中央値は28本だった。咀嚼能力の平均値は男性39.9、女性37.7であり、31名(6.3%)が咀嚼能力が低かった。立ち上がりテストによって、歯が19 本以下の人(2.0%)は歯が20 本以上の人よりもLS率が高いことがわかった。オーラルフレイルは、労働年齢においてもLSと関連している。

    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37794434/

  • Association of Denture Use and Chewing Ability with Cognitive Function Analysed Using Panel Data from Korea Longitudinal Study of Aging (2006-2018)(義歯の使用および咀嚼能力と認知機能との関連 韓国加齢縦断研究(2006~2018年)のパネルデータを用いた分析)

    Nu-Ri Jun et al. Healthcare (Basel). 11(18): 2505 (2023).

    要約:韓国の中年成人(9998人)における義歯の使用、咀嚼能力、認知機能(MMSE)との関連を調査した。24%の参加者が義歯を装着しており、35.1%が義歯装着時に咀嚼困難を訴えていた。義歯非装着者では、16.4%が咀嚼困難を訴えた。MMSE得点は、義歯装用者の方が非装用者よりも低く、両群ともにMMSE得点は咀嚼困難とともに低下した。認知機能の低下を防ぐためには、義歯装着中の咀嚼障害をなくし、口腔の健康を維持することが重要である。

    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37761702/

  • Augmentation of Growth Hormone by Chewing in Females(女性における咀嚼による成長ホルモンの増加)

    Emi Okamura et al. Nutrients. 15(16): 3628 (2023).

    要約:加齢に伴う成長ホルモン(GH)の分泌低下はサルコペニアの一因と考えられている。本研究において血清GHおよび血漿グレリンに対する咀嚼の影響調べた。プロテインサプリメントを噛まずに飲み込むよりも噛んだほうが、血中GH濃度が上昇することがわかった。グルコース、インスリン、アミノ酸、乳酸濃度には影響を与えなかった。この結果は、咀嚼がGH分泌に及ぼす影響を確認するための大規模な研究や縦断的研究を行う論理的根拠となると考える。

    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37630818/

  • Association between oral hypofunction and general health: a systematic review(口腔機能低下と一般的健康との関連:系統的レビュー)

    Nareudee Limpuangthip et al. BMC Oral Health. 23(1): 591 (2023).

    要約:口腔機能低下と身体的、心理的、社会的側面を含む一般的な健康状態との関連を調査し、10件の研究が最終的に統合された。関連がみられる健康状態のアウトカムは、主に虚弱、サルコペニア、栄養不良に関するものであったが、1つの研究で、軽度認知障害、社会的引きこもり、胃癌の予後について確認された。一般的な健康状態と口腔機能低下については関連性がみられるが、身体的、心理的、社会的側面への具体的な影響を明らかにするためには、さらなる前向き研究が必要である。

    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37620920/

  • What Is the Relationship between the Chewing Ability and Nutritional Status of the Elderly in Korea?(韓国における高齢者の咀嚼能力と栄養状態の関係は?)

    Sohye Kim et al. Nutrients. 15(9): 2042 (2023).

    要約:2013年から2018年に65歳以上の人を対象に実施された韓国国民健康栄養調査のデータを利用して高齢者の咀嚼能力と栄養状態の関係を調べた。咀嚼困難群は健常群に比べ、穀類や穀物、芋類、果物、肉、牛乳や乳製品、生の果物、野菜の摂取量が低かった。さらに、ほとんどの栄養素(炭水化物、脂肪、カルシウム、リン、ナトリウム、カリウム、ビタミンA、リボフラビン、ナイアシン、ビタミンC)の摂取量も有意に低かった。

    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37432195/

  • Effect of mastication evaluation and intervention on body composition and biochemical indices in female patients with obesity: a randomized controlled trial(肥満女性患者の体組成および生化学的指標に対する咀嚼の評価と介入の効果:無作為化比較試験)

    Nagisa Hidaka et al. BMC Endocr Disord. 23(1): 134 (2023).

    要約:女性肥満患者の体組成および生化学的指標に対する咀嚼指導介入(咀嚼の回数や咀嚼時間を増やす食品、食事のテクニック、食品の適切な切り方などを指導)の効果を調べた。6か月間の咀嚼指導介入により、BMI、生化学指標の値が対照群と比較して有意に減少した。主食である炭水化物の咀嚼回数と咀嚼時間を増やすことが体重減少と糖代謝の改善に寄与した可能性がある。

    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37340315/

  • Association of Glycated Hemoglobin Level with Self-Reported Chewing Problems in Elderly Community-Dwelling Individuals in Japan(日本の地域在住高齢者における糖化ヘモグロビン値と自覚する咀嚼障害との関連性)

    Midori Fujishiro et al. J Multidiscip Healthc. 16: 1231-1238 (2023).

    要約:健康診断において咀嚼に問題があると自己申告した地域高齢者の代謝特性、および咀嚼障害とHbA1c値との関連を調査した。1018人の参加者において、咀嚼障害の有病率は10.4%であった。咀嚼障害のある参加者は、問題のない参加者に比べてHbA1cの値が有意に高かった。また、HbA1cが7.0%以上の参加者は、年齢、性別、BMI、食行動の影響調整した後でも、6.0%未満の参加者に比べて咀嚼障害のリスクが有意に高かった。HbA1cが7.0%以上の高齢者において、口腔状態を積極的に評価することを推奨する。

    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37159603/

  • The relationship between subjective oral frailty and adverse health outcomes or medical and dental expenditures in the latter-stage older adult: A 6-year longitudinal study(後期高齢者における主観的口腔虚弱と有害な健康アウトカムまたは医療費・歯科医療費との関係:6年間の縦断的研究)

    Tokiko Doi et al. Clin Exp Dent Res. 9(2): 349-357 (2023).

    要約:6年間の縦断研究により、後期高齢者における主観的口腔虚弱と健康障害、医療および歯科支出との関係を調査した。ベースライン時に固い食べ物を食べるのが困難、お茶やスープを飲み込むのが困難など、オーラルフレイルの自覚症状がある参加者は、医療費、歯科医療費の支出が大幅に高いことが明らかになった。自覚的口腔虚弱を有する人、または歯の本数が19本未満の人は、障害または死亡発生の可能性が高いことが示された。

    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36740880/

  • Relationship between occlusal force and psychological frailty in Japanese community-dwelling older adults: The Septuagenarians, Octogenarians, Nonagenarians Investigation with Centenarians study(日本の地域在住高齢者における咬合力と心理的虚弱の関係:70代、80代、90代、100代の調査)

    Suzuna Akema et al. J Am Geriatr Soc. 71(6): 1819-1828 (2023).

    要約:日本の地域在住高齢者における最大咬合力と心理的虚弱との関連性を調べる横断研究を実施した。参加者は、世界保健機関-5尺度(WHO-5)スコア、及び日本版モントリオール認知評価(MoCA-J)スコアをもとに、心理的虚弱群(172名)、心理的頑健群(172名)に分けられた。フレイルの潜在的な交絡因子を制御した後、両群の最大咬合力を比較した結果、心理的虚弱群は有意に低いことがわかった。

    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36691687/

  • Effect of gum-chewing exercise on maintaining and improving oral function in older adults: A pilot randomized controlled trial(高齢者の口腔機能維持・改善に対するガム咀嚼運動の効果:パイロット無作為化比較試験)

    Kenta Kashiwazaki et al. J Dent Sci. Available online 9 July (2023).

    要約:高齢者の口腔機能に対してガムを継続的に噛むことの影響を調べた。介入群は実験用ガムを、対照群は実験用タブレットをそれぞれ1か月間摂取した結果、対照群と比較して介入群で舌圧が有意に高かった。また、介入群で最大咬合力、無刺激だ液量、舌と唇の機能、咀嚼機能(咀嚼チェックガム)で有意な改善がみられた。この結果は、ガムを噛む運動が高齢者の口腔機能を改善できることを示唆している。

    https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1991790223002040

  • 毎食一口30回以上の咀嚼を6カ月間継続するプログラム実施後の成人における身体への影響

    小川直子ら. 日本食育学会誌. 17(4): 171-177 (2023).

    要約:(咀嚼群)と、普通に食べるグループ(対照群)を6ヵ月にわたって比較した。咀嚼群は実験開始時に比べて食べ物を噛む回数が有意に増加した。また、咀嚼力、骨格筋量、握力の増加がみられた。さらに、咀嚼回数の増加により、食事誘発性熱発生が増加し、体重および体脂肪率が減少した。一口30回噛むことは、健康に良い影響を与えることが示された。

    https://www.jstage.jst.go.jp/article/shokuiku/17/4/17_171/_article/-char/ja

  • ミントガムによる乗り物酔い軽減効果

    稲葉翔吾ら. 人間工学. 59(5): 193-200 (2023).

    要約:ミントガムの咀嚼行動が乗り物酔いにおいて軽減作用を及ぼすか評価を行った。ミントガム咀嚼または無咀嚼の状態でマイクロバス乗車中の20分間の主観的な気持ち悪さ評価値の比較を行った結果、ミントガム咀嚼にて有意に軽減することが分かった。またSSQ(Simulator Sickness Questionnaire)の結果から、眼連動性、ふらつき感、および総合の各スコアにおいて有意な軽減効果が確認された。

    http://www.jstage.jst.go.jp/article/jje/59/5/59_193/_article/-char/ja/

  • フーセンガムトレーニングによる子どもの口腔機能への影響

    菅野範ら. 薬理と治療. 51(1): 105-112 (2023).

    要約:日常的に口唇閉鎖不全(お口ぽかん)が認められる4-8歳の子どもを対象に、フーセンガムトレーニングが口腔機能に与える影響を検討した。その結果、トレーニングにより対照群と比較して口唇の巧緻性の指標である「パ」の発音速度増加作用が認められた。また、保護者の認識として、日常生活での「お口ぽかん」、「硬い食品の摂取可能度合」、「滑舌」の改善作用も認められ、フーセンガムトレーニングが口腔機能の発達に有効であることが示唆された。

    http://www.pieronline.jp/content/article/0386-3603/51010/105

  • ガム咀嚼によるフェイスラインへの影響 -オープンランダム化並行群間比較試験-

    松井美咲ら. アンチ・エイジング医学(日本抗加齢医学会雑誌). 19(3): 247-251 (2023).

    要約:ガムを継続的に噛むことがフェイスラインにどのような影響を与えるか検討を行った。成人女性における8週間のガム咀嚼トレーニングが、左右のフェイスライン角度および顎下皮膚弾力性における振幅最大値(RO)に影響を及ぼすことが認められた。ガム咀嚼による咀嚼筋などへの作用がフェイスラインの引き締めや顎下の皮膚に影響を及ぼす可能性が示唆された。

    http://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=202302219311909444

  • 家族を単位とした咀嚼行動変容の試み:福岡市における「bitescan(R)とガムを活用した咀嚼力アッププロジェクト」

    坂ノ下典正ら. 日本咀嚼学会雑誌. 33(1): 11-22 (2023).

    要約:家族を対象に、①夕食時にウエアラブル咀嚼回数計bitescan®を使用し、②1日3回のチューインガム咀嚼を1ヶ月間実施し、口腔機能及び咀嚼行動への影響を検証した。口腔機能において、咀嚼チェックガムの色変わり、オーラルディアドコキネシス「パ」の改善がみられた。咀嚼行動ではおにぎりの摂取時間と咀嚼回数が有意に上昇した。bitescan®やチューインガムなどを用いた噛むことの意識付けにより、口腔機能と咀嚼行動が改善される可能性が示唆された。

    http://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=202302263658484100

  • フーセンガムトレーニングによる幼稚園児の口腔機能への影響

    松井美咲ら. 薬理と治療 51(4): 581-586 (2023).

    要約:幼稚園児(56人)に対して70日間、毎日10分間のフーセンガムのトレーニングを実施してもらい、口腔機能に対する効果を調べた。 介入期間の前後において、上口唇捕捉テスト、咀嚼チェックガムを用いた咀嚼能力評価、フーセンガムを膨らませるテストで有意な改善が確認された。幼稚園児が風船ガムトレーニングを実施することで、舌と唇の器用さと口腔機能が効果的に改善されることが示唆された。

    http://www.pieronline.jp/content/article/0386-3603/51040/581